林文子・横浜市長と懇談!(2016年10月13日)

林市長との懇談の様子を報告します。
ちょっと長~~い記録になりますが、ぜひお読みください!最後には、私たちの考えも載せました。


市民の声を受け止めて/ あっちゃん(活動紹介)
 私たちの活動は2013年6月、Facebookでの情報発信という形から始まりました。一緒に活動するメンバーが増え、今年2月、会を正式に発足させました。...
 今年4月には、ビートたけしのテレビタックルにメンバーが出演し、前市長の中田宏さんたちと中学校給食やお弁当について意見を交わしました。毎日新聞の全国版、朝日新聞の神奈川県版にも私たちの活動が紹介されました。
 2月から横浜市民アンケートを集めました。実に3300人以上の方にお答えいただきました。市民のリアルな声を、林文子市長をはじめ、教育委員会や市議会の議員の皆様にも受け止めていただけたらと思います。


96%が給食実施を望む/かっちゃん(報告)
  市民アンケートを通じて、いいねの会の活動に参加しました。仕事を掛け持ちしながら子どもと二人で暮らしています。子どもは10品目以上の食物アレルギーがあり、朝晩の食事にいつも悩んでいます。保育園、小学校では除去食中心の給食を用意していただき、学ぶことも多く大変ありがたいです。給食があることで、まわりのお友だちもアレルギーに関心を持ってくれているのですが、中学に入り理解が得られるのか不安に思い活動に参加しています。
 市民アンケートの集計結果(速報)について報告します。私たちは、2月15日から約半年間、市民アンケートを集めました。目的は、多くの市民が中学校給食を求めていることを確認し、その声を林市長、市教育委員会、市議会などに伝えること。また、中学校給食に反対している人の意見も聞いて、どういう給食なら実現できるかを考えることです。
 駅前など11カ所で宣伝し、「中学校給食に賛成の人も、反対の人も声をお寄せ下さい」と呼びかけました。3324人から回答があり、96・6%が給食の実施を望んでいることが分かりました。アンケートには様々な書き込みがありました。「家で食べられない嫌いな野菜も、給食なら食べられる」「母が長く入院していたが、給食のおかげで昼食に困ることがなかった」「女性も働くことを推進している社会で給食は不可欠」「お弁当は夏の季節などを傷んでしまい、心配」などです。市民の願い・声に横浜市として真剣に応えてほしいです。

地産地消を進めて/さっちゃん(発言)
 小学生の子どもがいます。私が「いいね!」の会で活動しているのには、二つの理由があります。
 一つは地産地消を進めることです。毎日の買い物で、なるべく安心・安全な国産の食材を選びたいと考えています。でも、外国産や冷凍食材の方が安く売られている時は、ついそちらに手が伸びそうになり、悩むこともあります。そんな折、会の活動で、新潟県三条市が地産地消を掲げ、地元のお米や食材を小中学校の給食にとり入れていることを知り、これは生産者と消費者のどちらにもメリットが大きいやり方だなと思いました。横浜でも中学校給食を実施し、地産地消をすすめることで、県内で最も広い農地面積を生かせると思っています。地元の農家にとっては、安定して農作物を買ってくれる取引先が増え、私たち消費者にとっては生産者の顔が見え、新鮮で安心な食材が利用できるのではないでしょうか。
 もう一つは、貧困と格差の問題です。内閣府が出した『平成26年版子ども・若者白書』には、日本全体で確実に格差が広がっており、子どものいる世帯の6世帯に1世帯が貧困状態にあるという記述があります。横浜市も例外ではありません。周囲の親からも、家にお金がなく、親にも余裕がなくて学校に弁当を持って来られず、昼休みに水だけ飲んで過ごす子がいるという話を聞きました。中学校給食を導入することで、貧困家庭の子どもにも最低限、1食だけでも栄養バランスがととのった食事を提供でき、福祉の面でも大事な前進になると考えます。



「食」の大切さを/ともちゃん(発言)
 栄養士です。中学校給食の実施を求めて活動していると、「親の作るお弁当が本来の家庭のあり方だ」という方がいます。「家族の繋がりを大切に」と訴える方もいると思います。お弁当づくりが当たり前にできる世の中であれば、私もそうすべきであると考えています。しかし、実際は、そう出来ない現状があります。私たちが取り組んだ市民アンケートには、共働きの親御さんが増え、お弁当を作る時間がない、あるいは経済的に厳しく昼食を買うお金も渡せないとの悲痛な訴えが寄せられました。また、お金は渡せても子どもが好きなことに使うためにお昼ご飯を抜く。それから、ダイエットに目覚めてお昼ご飯を抜くという声もありました。そのような子どもが増えていけば、日本の将来は危ぶまれると思います。...
 子どもは国の宝です。今、忘れ去られている「食」の大切さを教育として確立させるべきではないでしょうか。中学生としての理解力があるので、食育の効果はすぐに発揮されます。給食を食べることで、経験や思い出として残ります。


給食の思い出残して/かおちゃん(発言)
 2人の子どもの母親です。いいね!の会の活動に加わったばかりです。私は新潟県の出身です。中学1年のとき、お弁当が給食に変わり、嬉しく思いました。それは、お弁当の格差に違和感を持っていたからです。お弁当のときは、友人がいつもデザートを持ってきていたので、うらやましかったです。
 中学校給食の思い出は、たくさんあります。ひな祭りやクリスマスなど行事のある日は、デザートがケーキだったり、ゼリーだったりと楽しみでした。こういう日は、余ったものの争奪ジャンケンがすごく盛り上がりました。横浜に引っ越して、ママ友に中学校給食がないことを聞いて、おどろきました。横浜の子どもたちにも中学校給食の楽しい思い出を残してあげたいです。
 お弁当を持って来られない中学生もいます。お弁当が、いじめのきっかけにならないか不安です。中学校給食の実施で、同じ釜のめしを食べることができれば、コミュニケーションが広がり、仲間意識も強まります。食事の準備や作業を一緒にすることで、生徒の社会性が育つと考えます。

義務教育だから平等に食育やって/とんちゃん(発言)
 3人の子どもを育てています。中学の時は、成長に必要な栄養素を摂取する量が多くなっていきます。でも、お弁当に緑黄色野菜を豊富に入れることは難しい。長女が学童に通っており、夏休みなど長期の休みの時はお弁当を作っています。それが、中学でほぼ毎日、お弁当を作るとなると、栄養バランスを確保する点だけでも簡単ではありません。食事は調理してすぐに食べるのが美味しいし、栄養もあります。温かくて美味しい中学校給食を実現して、子どもたちがのびのび成長できる環境を作りたいです。
 中学校給食を実施している自治体では、給食を通じて食育が豊かに行われています。例えば、給食の時間に栄養士さんが「このキャベツは三浦半島でとれたもの」と紹介すれば、中学生なら興味を持ち、農業や流通業、社会についても学べると思います。みんなと一緒に食べ、学校にいる栄養士さんや調理員さんから給食について話を聞くことで、正しい食習慣を身につけ、生涯を健康で過ごすための基礎をつくるなど、給食は子どもの人格形成に大きな役割を果たしています。中学校は義務教育なので平等に食育をやってほしい。林市長には、学校給食法に従って中学校給食を実施する努力をしてほしいです。
  

給食にして親子の時間作りたい/かおちゃん(発言)
 中学3年男子の母です。朝6時半に起き、父親と一緒に朝食と弁当の用意をしています。朝食を一緒に座って食べることができず、家族がバラバラに自分のタイミングで食べ始める、孤食・個食になってしまっています。もっと早く起きれば良いのでしょうが、両親ともフルタイムで働いており、子どもが寝た後に仕事をするなど就寝時間も遅いためなかなか出来ません。フルタイムで働く親にとって、一番楽しみにしていながら、一番頭を悩ませているのが家族との食事だと思います。内容もコミュニケーションの場としても理想の食事環境がつくれていないと感じるからです。...
 家庭弁当が会話のきっかけや親に感謝する気持ちにつながるというのは当事者からすれば見当違いな意見で、弁当を作る時間をコミュニケーションの時間にあてて、もっと親子の時間を作りたいと願っています。そして多感な時期だからこそ、弁当格差を気にすることなく、栄養バランスの取れた給食を友人と楽しく食べさせてあげたいです。
 配達弁当というのも結局は家庭に負担を押しつけ、格差を見て見ぬ振りすることになると思います。ぜひ全国的にも世界的にも普通である中学校給食を実施させてほしいです。


●「横浜らしい」に違和感/もっち(発言)
 3人の子どもの父親です。私は中学校給食を体験していません。ですから中学校給食への関心はありませんでした。中学校給食に関心を持ったのは、3年ほど前。中学校給食の実施を横浜市に求める署名を保育園の友達と集めたことがきっかけです。保育園の知り合いに署名を呼びかけるのは初めてで、とても緊張したのを覚えています。全国8割以上の公立中学校で給食が実施されていると伝えると、多くの人が驚いて一緒に署名を集めてくれました。
 私は、横浜市が給食をやらないことを「横浜らしい」と表現していることに違和感を持っています。学校給食法では「地方公共団体は、学校給食の普及と健全な発達を図るように努めなければならない」としています。「学校給食法にとらわれない」という姿勢は、自治体として正しいのでしょうか。

お弁当の苦い思い出/あっちゃん(発言)
 家庭弁当の良さというところでよく言われるのは、「愛情弁当」とか「親子のコミュニケーション」だと思います。私は、ずっと横浜市民でしたから、「愛情弁当」をいただいた中学校生活でした。でも、それがコミュニケーションになったかは非常に疑問です。私の母は専業主婦でしたが、お弁当を作ることをとても負担に感じていたようでした。お弁当箱を洗い物に出す、出さないなどの些細なことで喧嘩になりました。思春期に、友達に見せるのが恥ずかしい茶色のお弁当を毎日隠して食べていました。苦い思い出です。
 我が家は、非常に厳しい経済状態で、経済力の底上げをしたいわけです。でも、子どものためにお弁当にも力を注がなきゃいけない。そう考えただけで、身体も心もバランスを保つのが難しくなるのではないか、と不安です。私はお弁当作りに力を注ぐよりも、思春期の子どもの心に寄り添うために時間を作りたいです。
林市長は、待機児童解消のときには、あっという間に対応されました。中学校給食を実現できるやり方を見つけてくださるのではと保護者は期待しています。ぜひ一緒に踏み出してほしいです。

 

 林市長は、私たちの訴えについて「すべて共感している。全くおっしゃる通りだ」と受け止めてくれました。でも、中学校給食については、「優先度が低いとは言っていない。時間がないと難しい」と述べ、家庭弁当を基本に横浜型配達弁当を進める考えを示されました。

  中学校給食を実施しない理由について、三つの点で話されました。...
 ひとつ目は、「給食は困るという保護者も多い」「お弁当作りを子どものためにやりたいという人もかなりいる」ということでした。横浜市は他の市町村に比べて就労していない人が多い都市で、お弁当作りがやりがいとなっている保護者がとても多いとのこと。つまり、多くの保護者がお弁当を望んでいるということですね。
 ふた
つ目は、「お金がない」「税収が足りない」ということでした。全国でお金の心配がないのは東京都だけで他の自治体は歳入不足とのこと。夕張のように再建団体になっては大変だと話されました。
 さいごは、「建設用地が確保できない。給食センターが建てられない」と話されました。また、中学生が溢れて教室が足りないので、135ある中学校内に調理施設を設けることもできないとも言っていました。


【私たちの考えや感想】
●多くの保護者が給食を望んでいる
 多くの保護者がお弁当を望んでいるという根拠は、林市長から示されなかったので引き続き、調べていきたいと思います。私たちもお弁当を望んでいる人は当然、いらっしゃると思っています。でも、「給食は困るという保護者も多い」ということには疑問を持ちました。私たちが集めた市民アンケートで3324人の96・6%の人が給食の実施を望んでいることが分かったからです。周りのパパママ友と話していても、ほとんどの人が給食をやってほしいと言っていました。

●「財政力指数」政令市で4位
「お金がない」ということはよく耳にします。でも、中学校給食を実施している多くの自治体は横浜より財政が豊かなのでしょうか。どうもすっきりしません。そこで横浜市の財政がどうなっているのかちょっと調べてみました。すると、「横浜市の財政状況」(平成26年度 決算の状況)というページを発見!
http://www.city.yokohama.lg.jp/zais…/…/zaisei/zaiseijoukyou/
16ページでは、主な財政指標を他の政令市と比較していました。自治体の財政力を示す「財政力指数」は、数値が大きいほど財源に余裕があるとされているそうです。横浜市は、財政力指数が0.96。なんと!20政令市のなかで4位。横浜市以外の政令市では、中学校給食を実施していたり、実施する計画があるんですよね。本当に「お金がない」からできないのでしょうか。
 また、一気に実施するのが厳しいのであれば、約500校の小中学校にエアコンを四ヵ年で設置したように、何ヵ年かの計画で実施していくというのも大切かもしれません。

●柔軟なやり方で
 建設用地が確保できないという根拠は今後、詳しく調べたいと思います。今、全国的に子どもの数が減っているという話を聞くので、中学生が溢れているかどうかは、学校ごとに状況が違うと思いました。例えば、学校内に調理室を整備する「自校調理方式」と、小学校の調理室から中学校に配送する「親子方式」などを組み合わせるなど、柔軟な対応はできないのでしょうか。
 
 今回の懇談を通じて、林市長の考えが分かって本当に良かったです。お互いの意見は違いましたが、率直に話し合えて良かったと思います。みなさんは、林市長のご意見をどう感じたでしょうか。様々な課題はありそうですが、横浜市がやる気になればクリアできるのと思いました。私たちは、活動をもっともっと盛り上げていきます。中学校給食を望んでいる多くの方々と手を取り合ってがんばるぞ~!と決意を新たにしました。(おわり)